フライトマイルはどのように算出されるのか
航空会社の「マイル」は、ショッピングやクレジットカードの利用など、さまざまなシーンで積算されます。
その中で、飛行機の利用で貯まるマイルが「フライトマイル」です。JALやANAでは、フライトマイルの積算に一定のルールを設けています。
区間マイルと積算率で計算される
ANAとJALのフライトマイルは、どちらも「区間ごとに定められたマイル数」と「運賃ごとの積算率」で決まります。ただし呼び方が異なります。
JALは「フライトマイルはご搭乗いただいた区間に定められた『区間マイル』とご利用運賃に対応した『マイル積算率』から算出され、お客さまの口座に自動的に積算されます。」と案内しています。
ANAは「国内線フライトマイル=ご搭乗の区間基本マイレージ×運賃ごとの積算率」と式の形で示しており、区間ごとのマイル数を「区間基本マイレージ」と呼びます。
ここで注目したいのが区間ごとのマイル数です。出発地から目的地までの飛行距離が長ければ長いほどフライトマイルが多く積算されます。両社ともIATA(国際航空運送協会)のTPM(運賃計算に使用する区間距離)を基準としており、東京発の区間マイル(片道・積算率100%)は次のとおりです。
| 区間(東京発・片道) | 区間マイル |
|---|---|
| 大阪 | 280 |
| 沖縄(那覇) | 984 |
| 北京 | 1,313 |
| パリ | 6,207 |
これらの数値はJAL・ANAどちらのマイレージチャートでも同じです。ただし区間マイルは定期的に改訂されます。JALは「毎年春と秋に発行されるIATA TPMに基づき、7月と翌年1月に区間マイルを改訂いたします。」、ANAは「毎年秋にIATAより発行されるTPMを基準にしており、積算:1月1日~12月31日(搭乗分)」としているため、計算する際は公式のチャートで最新の数値を確認しましょう。
積算率は運賃・予約クラスで決まる
区間マイルに掛け合わせる積算率は、利用する運賃や予約クラスによって決まります。ここは両社で分け方が違うため、公式の表をそのまま確認するのが確実です。
JALの国際線は、アルファベット1文字で表す「予約クラス(ブッキングクラス)」ごとに決まっています。
| 座席クラス | 予約クラス | 積算率 |
|---|---|---|
| ファーストクラス | F・A | 150% |
| ビジネスクラス | J・C・D・I | 125% |
| ビジネスクラス | X | 70% |
| プレミアムエコノミー | W・R | 100% |
| プレミアムエコノミー | E | 70% |
| エコノミークラス | Y・B | 100% |
| エコノミークラス | H・K・M | 70% |
| エコノミークラス | L・V・S | 50% |
| エコノミークラス | O・Z・G・Q・N | 30% |
一方、JALの国内線は予約クラスではなく「運賃名」で決まります。普通席はフレックス・JALカード割引などが100%、セイバー・往復セイバー・株主割引などが75%、プロモーション・スカイメイトなどが50%です。
ANAの国内線も運賃名で決まりますが、体系はJALと別物です。ANAは2026年5月19日以降の搭乗分から、予約検索画面の表記を従来の「プレミアムクラス」「普通席」から「ファーストクラス(プレミアムクラス)」「エコノミークラス」へ変更しています。
| ANA国内線・エコノミークラスの対象運賃 | 積算率 |
|---|---|
| フレックス、Biz、ANAカード優待割引、島民割引 | 100% |
| 株主優待割引、スタンダード | 80% |
| シンプル | 70% |
| セール、個人包括旅行運賃(APIT)、ユース、シニアなど | 50% |
| 包括旅行割引運賃(ITE) | 30% |
同じ路線に乗っても、選んだ運賃によって貯まるマイルは変わります。予約クラスはファーストやエコノミーなどの「座席クラス」とは別の概念で、同じエコノミークラスの中にも複数の予約クラスが存在する点にも注意しましょう。
アップグレード時の取り扱い
アップグレードとは、予約済みの航空券の「座席クラス」をワンランク上のものに変更することです。国際線では、エコノミー・プレミアムエコノミー・ビジネス・ファーストの順にクラスが上がります。
ここで間違えやすいのが、アップグレード後のクラスの積算率がそのまま適用されるわけではないという点です。
JALは国際線について「当日空港でアップグレード(アップグレード特典、プレミアムエコノミークラス空港当日アップグレードなど)をご利用の場合、アップグレード前の予約クラスに基づきマイル積算いたします。」、国内線についても「当日アップグレードをご利用の場合、ご購入時の運賃・クラスに基づきマイル積算いたします。」と案内しています。
ANAは「料金のお支払いによりプレミアムクラスにアップグレードした場合、もともとご購入いただいている運賃に、一律プラス50%が積算されます。(例)ANA SUPER VALUE 21の場合:75%+50%=区間基本マイレージの125%」と、計算例つきで示しています。
また、JALの国内線には普通席とファーストクラスの間に「クラスJ」という独自のクラスがあります。クラスJの積算率は普通席に何かを足すのではなく、独立した表として定められています。
| クラスJの対象運賃 | 積算率 |
|---|---|
| フレックス、JALカード割引、ビジネスフレックス、離島割引 | 110% |
| セイバー、スペシャルセイバー、往復セイバー、株主割引 | 85% |
| スカイメイト、JALカードスカイメイト、当日シニア割引、個人包括旅行運賃 | 60% |
フライトで貯めたマイルで飛行機に乗るには
フライトで貯めたマイルは、「特典航空券」に交換できます。必要なマイル数の決まり方は両社で異なるため、それぞれの公式チャートで確認しましょう。
マイルの有効期限に注意して特典航空券に交換
有償ではなく、マイルによって得られた航空券は「特典航空券」と呼ばれます。航空券への交換はまとまったマイルが必要となるため、のんびり貯めているとマイルが失効してしまうかもしれません。
JAL公式は、マイルは搭乗(利用)日の36ヶ月後の月末まで有効としており、日本時間の月初(毎月1日)0:00にマイルが失効します。
ANAは口座グループによって有効期限が異なります。フライトやライフソリューションサービスの利用で積算される「グループ1(通常マイル)」は商品・サービスを利用した月の36ヶ月後の月末までですが、キャンペーンなどで積算されるグループ2〜4は「キャンペーンにより有効期限が異なります」とされています。
つまり「36ヶ月」と一律には数えられません。なおANAは「『ダイヤモンドサービス』メンバー期間中はマイルは失効いたしません。」とも案内しています。
マイルの有効期限は、各マイレージプログラムの「会員専用サイト」で確認できます。
JALマイレージクラブ会員は「マイル実績報告付 JALメールニュース」も活用しましょう。有効期限が近いマイルも一目でわかるマイル実績報告がEメールで届きます。
ANAは区間の距離とシーズンで必要マイル数が決まる
ANAの国内線特典航空券は、区間基本マイレージの距離帯と「L(ローシーズン)」「R(レギュラーシーズン)」「H(ハイシーズン)」の組み合わせで必要マイル数が決まります。2024年10月27日以降の搭乗分は改定後の必要マイル数が適用されます。
| 1区間(片道) | L | R | H |
|---|---|---|---|
| 0~300マイル区間 | 6,000 | 6,500 | 9,000 |
| 301~800マイル区間 | 7,000 | 8,500 | 10,500 |
| 801~1,000マイル区間 | 8,000 | 9,500 | 12,000 |
| 1,001~2,000マイル区間 | 9,500 | 10,500 | 13,000 |
ANAは「2区間でご利用の場合は、1区間(片道)の必要マイル数を合算します。」と案内しています。往復で使うなら、この表の数字を2回分見ることになります。
国際線は、「ゾーン区分」「搭乗日のシーズン」「搭乗クラス」によってマイル数が決まります。ゾーン区分は、日本をZone 1として就航先を地域ごとに分けたものです。日本(Zone 1)発着・韓国・ロシア1(Zone 2)のエコノミークラスなら、往復でL 12,000マイル・R 15,000マイル・H 24,000マイルとなっています。
また、2025年6月24日以降の予約・発券分からは「片道必要マイルチャート」も利用できます。必要マイル数が知りたいときは、日本と行先のゾーンの対応表でシーズンと搭乗クラスの組み合わせから探しましょう。
JALは「基本マイル数」と特典航空券PLUSの変動制
JALの国内線特典航空券は、シーズン区分ではなく空席状況に応じた変動制です。JALは「特典交換に必要なマイル数は、日程やご利用便の予約時点の空席状況に応じて変動します。」「一番マイル数の少ない『基本マイル数』でご予約いただける席に空きがない場合は、予測残席に応じて変動する追加マイルをいただくことでご予約が可能です(特典航空券PLUS)。」と説明しています。
発着地の距離に応じてA(短距離路線)からG(長距離路線)まで7つのゾーンが設定されており、直行旅程・片道1区間のAゾーンの場合、普通席は基本マイル数4,500マイル、PLUS利用時は最大18,500マイル、クラス Jは基本マイル数5,500マイル、PLUS利用時は最大19,500マイルです。
なおJALは「2026年10月1日(木)発券分から、JAL国内線特典航空券の必要マイル数が変更となります。」と告知しています。交換前に必ず公式の最新チャートを確認しましょう。
国際線については、JALは「片道7,500マイル 往復15,000マイルから世界の旅に交換」と案内しています。往復で利用する場合は、片道の必要マイル数を合算したマイル数が必要です。
クレカを駆使して効率良くマイルを貯めよう
マイルを効率良く貯めるには、クレジットカードが欠かせません。カードを選ぶときは、付与されるポイントの有効期限にも着目しましょう。陸マイラーにとっては、期限が長ければ長いほど有利です。
陸マイラーは賢く貯めている
飛行機を使わずに、普段の生活でマイルを貯める人々を「陸マイラー」と呼びます。公共料金や電話代などの固定費をマイルが貯まるカードで決済すれば、マイルやポイントがコンスタントに積算されていくでしょう。
JALマイルを貯めている人にとっては、支払いを「JALカード」にまとめるのが基本です。JALカードの公式サイトによると、ショッピングマイルは200円ごとに1マイル(普通カードの例として、2万円の利用で100マイル)が積算されます。JALカードnavi会員は100円=1マイル(特約店では100円=2マイル)の積算率です。
さらに、次の2つでマイルの貯まり方が変わります。
・JALカード特約店:JALカードで貯まるマイルが通常の2倍になる店舗
・JALカードショッピングマイル・プレミアム:年会費4,950円(税込)の有料オプション。入会するとマイルが2倍
JALは「特約店利用で2倍×2倍の4倍に!」と案内しています。なおCLUB-Aゴールドカード、JALダイナースカード、プラチナ、プラチナ Pro、JAL CLUB EST会員は、ショッピングマイル・プレミアムに自動入会(年会費無料)となります。
フライトの機会があるなら、JALカード会員だけのボーナスマイルも見逃せません。
| ボーナス | 普通カード/JALカード navi | CLUB-Aカード/CLUB-Aゴールドカード/JALダイナースカード/プラチナ/プラチナ Pro |
|---|---|---|
| 入会搭乗ボーナス(入会後初めての搭乗時、1回のみ) | 1,000マイル | 5,000マイル |
| 毎年初回搭乗ボーナス | 1,000マイル | 2,000マイル |
| ご搭乗ごとのボーナス | フライトマイルの10%プラス | フライトマイルの25%プラス |
ポイントの有効期限が長いカードでマイルに交換
カード会社のポイントを貯めてマイルに交換する方法は、ポイントの有効期限のぶんだけマイルに換えるタイミングを選べるのがメリットです。
「ANAダイナースカード」は、公式サイトによると「カードのご利用100円につき1ポイント(1マイル相当)が貯まります。貯めたポイントには有効期限もマイル移行上限もない」とされ、移行手数料も無料です。自分のペースでじっくりマイルを貯められます。
「ANA アメリカン・エキスプレス・ カード」は、American Express®の公式サイトによると100円で1ポイントが貯まり(加算対象外または200円=1ポイントとなる場合あり)、有料の「ポイント移行コース」(年間参加費6,600円税込、2年目以降自動更新)に登録するとポイントの有効期限が無期限になり、1,000ポイント→1,000マイルで移行できます。
ANAの公式サイトでも、「メンバーシップ・リワード ANAコース」の参加費を払わない場合は2ポイントごとに1マイル(2,000ポイント単位)、参加する場合は1ポイントごとに1マイル(1,000ポイント単位)と示されています。マイル移行上限は年間40,000マイルです。
なお、移行したマイルには改めて有効期限が設定されます。ANAは、移行したマイルの有効期限はポイント移行を申し込んだ日を起算日として36ヶ月後の月末までになると案内しています。ポイントのまま持っておくか、マイルに換えるかは、使う予定から逆算して決めましょう。
マイルの計算で間違えやすいポイント
フライトマイルは自動的に積算されるため、会員が自分で計算する必要はありません。しかし目標を立てるときには、次の2点を押さえておくと見込み違いを防げます。
同じ路線でも運賃によって貯まるマイルは変わる
区間マイルは路線ごとに決まっていますが、実際に積算されるのは「区間マイル×積算率」です。積算率は運賃や予約クラスごとに公式が定めているため、同じ区間に乗っても選んだ運賃で貯まるマイルが変わります。
たとえばJALの国内線普通席なら、フレックスは100%、セイバーは75%、プロモーションは50%です。安い運賃を選ぶほど積算率は下がるため、「距離が同じだから同じマイル」とはなりません。
また、積算対象外になるケースもあります。JALは「幼児運賃などの特殊運賃、無償航空券、特典航空券をご利用の場合」などを積算対象外としており、ANAもチャーター便・無償航空券・特典航空券・団体割引運賃などを対象外としています。特典航空券で飛んでもマイルは貯まりません。
必要マイル数は改定される
貯め始めた時点の必要マイル数が、交換するときも同じとは限りません。実際に、両社とも近年の改定を公式に告知しています。
・ANA国内線特典航空券:2024年10月27日以降の搭乗分から改定後の必要マイル数を適用
・ANA国際線特典航空券:2025年6月24日0:00(日本時間)以降に予約・発券した分から改定後の必要マイル数を適用
・JAL国内線特典航空券:2026年10月1日発券分から必要マイル数が変更
さらにJALの国内線特典航空券は、予約時点の空席状況によって必要マイル数が変動する仕組み(特典航空券PLUS)です。「基本マイル数で予約できる席が埋まっていれば、追加マイルが必要になる」と考えておきましょう。
目標のマイル数を決めるときは、交換したい時期に近づいたタイミングで、必ず公式の最新チャートや空席照会で必要マイル数を確認するのが確実です。
まとめ
フライトマイルは「区間ごとに定められたマイル数」×「運賃ごとの積算率」で決まります。JALは「区間マイル」と「マイル積算率」、ANAは「区間基本マイレージ」と「積算率」と呼び方が違うだけで、考え方は共通です。
一方で、特典航空券の必要マイル数は両社で仕組みが異なり、改定もあります。ANAは距離帯とシーズン、JALは基本マイル数と特典航空券PLUSによる変動制です。クレジットカードを組み合わせて効率よく貯めつつ、交換前には公式の最新チャートで必要マイル数を確かめましょう。